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Season1
2026.02.12up
2月14日(土)よる11時40分放送
肩の力を抜いて、ただ存在する
螢 雪次朗が魅せる、
愛すべきじいさん・良三郎
「俺は後悔と一緒に生きていくって決めたんだよ」
大西流星と原嘉孝がW主演を務める土ドラ『横浜ネイバーズ』(東海テレビ・フジテレビ系/毎週土曜23時40分)。現代社会が抱える問題を映し出す人情とミステリーが交錯するヒューマン・エンターテインメント。
先週放送の第5話では、ロンと母・南条不二子(伊藤歩)との衝撃的な過去が明かされた。父・孝四郎の事故から数日後、家を出て行こうとする不二子を追いかける幼いロン。「お母さん、どこ行くの?」…その問いかけに向けて放たれた「お母さんなんて、二度と呼ばないで」という冷たい一言は、多くの視聴者の胸を切なく締めつけた。
今回の「ネイバーズだより」では、そんなロンを男手ひとつで育ててきた祖父・小柳良三郎を演じる螢 雪次朗にインタビュー。作品への想いや、良三郎という人物を演じるうえでのこだわり、そして追い求め続ける“究極の演技”について語ってもらった。
愛すべきじいさん!酒も色恋も博打も、人情込みで
このじいさんは義理人情に厚く、町内でもお節介な存在です。何かあると「それ、俺がやるよ」と自然に声をかけるような、人付き合いのいいタイプ。酒好きで女好き、博打も好き。実は「博打が好き」という設定は僕から監督にお願いして加えてもらいました。義理人情に厚い反面、調子のいいところもあって、ときどき失敗してしまう。
そんな少し抜けたところも含めて、すごく愛すべきじいさんだと思っています。
肩の力を抜いて、ただそこにいる
この役に限らず、ほかの役でも同じことが言えると思うのですが、役者にとって中年以降のいちばん大きなテーマは、「肩の力を抜く」ということだと思っています。ただ、それが本当に恐ろしく難しい。たとえば中華料理屋のシーンなら、その店の中に自然に立っていられれば、それでいいんです。浮いていなければいい。ところが、「芝居を持ち込もう」と意識してしまうと、途端に浮いてしまう。役者としての欲、いわば“すけべ心”を持ち込んでしまっているからなんです。
褒められたいとか、ギャラをたくさんもらいたいとか、あわよくばこの役で賞を狙おうとか、そういう気持ちは誰にでもある。でも、そうしたものを、気持ちの中から、体の中からすーっと流して、ただそこにふっと存在すればいい。これは一生のテーマですね。僕自身も、この良三郎という役をやりながら、力を抜けと毎回自分に言い聞かせているつもりです。でも、あとで映像を見ると「やりすぎだ」と自分の芝居に思うことも多い。
つくづく奥が深いし、終わりがない世界だなと感じます。
良三郎の覚悟――「後悔と一緒に、生きていく」
第4話でロンに「じいさんは、後悔とかしたことはある?」と聞かれるんです。そこで、亡くなった息子・孝四郎の話を少しして、「俺は後悔と一緒に生きていくって決めたんだよ」というセリフがある。あれは、なかなかグッとくる言葉でしたね。長く生きていれば、後悔なんて山ほどありますよね。むしろ、人生が長い人ほど、後悔の数も増えていくんじゃないかと思います。「後悔なんて一つもない」と言う人がいたら、正直、少し疑ってしまいます。
誰もが何かしらの後悔を抱えながら生きている。そんな中で、良三郎のじいさんが口にする「俺は後悔と一緒に生きていくって決めたんだ」という言葉は、この役の中でも、唯一と言っていいほど心に残るセリフだと思います。
年を重ねた人なら、きっと実感として共感できる言葉なんじゃないかなと思います。僕自身も、まさにその通りだと感じました。
母への後悔は、今も胸の奥に
後悔はたくさんありますが、やはり一番大きいのは母のことですね。子どもの頃、貧しかったんだよね。貧しい家でいちばん苦労するのは、やはり母親。子どもが二人いて、借金に、狭い長屋暮らし。そこへ借金取りが毎日のようにやって来て、なかなか帰らない。そんな光景を、僕は実際に子どもの頃から見ていました。それなのに、僕は自分のわがままで、さらに母を困らせていた。そのことを、この歳になってよく思い出します。あのとき、母はどれほどつらかっただろう。苦しい母の気持ちを、なぜ少しでも分かってあげられなかったのか。
何か食べたい、お小遣いが欲しい、どこかに連れて行ってほしい。今思えば本当に些細なことですが、子どもにとっては当たり前のわがままですよね。でも母は、叶えてやりたくても、貧しくてできなかった。今になって、その重さを痛いほど感じています。
名シェフは妻。僕はアシスタント
家では、シェフは妻なんです。十代の頃から料理の先生について、きちんと学んできた人で、身内が言うのも何ですが、本当に料理がうまい。そこは素直に「すごいな」と思っています。僕の役割は、もっぱら下準備。お米を研いだり、麺をゆでたり、野菜を洗ったり皮をむいたり、あとは食器洗いまで、だいたい僕の担当です。
完全に妻のアシスタントですね(笑)。
名作の条件は、世代を越えて集うこと――それは満たしてる
この作品は、中華街を舞台にした青春ドラマであり、同時に家族の物語でもあり、友情の物語でもあります。
さらに言えば、隣人を思いやるという、広い意味での義理と人情も描かれていて、とても素敵なドラマだと思っています。これはあくまで僕の持論ですが、映画でも舞台でもテレビドラマでも、「名作」と呼ばれる作品には、出演者の年齢の幅が広いものが多いと、昔から感じているんです。その点で言っても、この作品は、出演者の年齢の幅が本当に広い。そういう意味でも、名作の条件を満たしていると、僕は勝手に思っています。ぜひ応援していただいて、家族そろって見ていただきたいドラマです。